鬼太郎誕生。ゲゲゲの謎のあらすじ。
はっきり言って暗いです。
ひ、人の心とかないんか!?って作品だよね。
どちらかというと『妖怪と女子供には人権はない!」が作中にはあるよね。
本作品のテーマは昭和
ゲゲゲの謎のストーリー展開は作品の全てに昭和の習慣や事件。ヒットした娯楽作品や表現を引用して制作されています。
冒頭のパワハラ上司や移動する列車の中での咳をしている子供の前で煙草を吸う大人達の喫煙シーン。
今の時代でこんなことをやっていたら、即、吊るしあげられる昭和流の表現が多いです。
他にも狭い村社会特有の噂の伝達の速さや気持ち悪さ。農村の閉鎖的な独自の制裁描写などが多数盛り込まれています。
列車内で煙草を吸ってたらいけないだぞ!
あー。うん僕が幼少期ですら煙草の禁煙コーナーがあったくらいだから。時代を感じるよね。
鬼太郎を映画化する上での制約
ゲゲゲの鬼太郎を作品化するわけですから、子供達に申し訳程度の萌え要素や戦闘シーンを入れるわけです。
冒頭の鬼太郎や猫娘の登場がそうでしょうし、目玉おやじことゲゲ郎と妖怪の戦闘シーンがそうでしょう。
しかし、それはあくまでオマケ程度のものだと解釈して観た方が良いです。
この物語はあくまで戦後の貧しかった昭和の時代の因習をテーマにした作品だからです。
本当に悪いの人か妖怪か?
妖怪作品をテーマとする場合。
必ずと言って良いほどテーマの一つとして挙げられるのが『本当に悪いのは人か妖怪か?』という問いです。
本作は妖怪達を善の側面として考えて創られており、悪の側面は大人の人間側が担います。
橋渡しとして水木という主人公が狂言回し的な役割を演じることでストーリーを進行させるのです。
面白いのが大人の領域に踏み込むと人は醜くなる。という法則が随所に設定されている点です。
これは少しネタバレになるんだけど…あるキャラクターが若い頃と印象が違うみたいなシーンがあるんだ。
これは若い頃と現在では印象が変わって大人になると醜悪になる。人間なんてそんなものだ。という意味が示唆されているんだ。
どんな純真な人間でも環境によって、大人になれば醜くなるということが揶揄されているのですね。
この物語って基本、人間側が酷い方面にいっちゃうよね。人間を信じてないよね。
小道具の意味
映像作品を創る上でCGやクォリティーの高い映像で物語を演出するのが、最近のエンタメ作品の不文律です。
しかし、本作品はエンタメを作る際の構成も昭和流に作られているのが特徴です。
もちろん、最近のテクノロージーやノウハウは使いますが
小道具で状況や心情を演出する描写が多数あるのがポイントです。
僕が初見で気になった小道具だけでも。煙草、酒、西洋風の建物や服。桜の木等で心情を示唆する描写が多くありました。
この小道具の使い方でキャラクターの言ってることと思ってることの対比を見せるやり方が実に上手く昭和的な作り込みだと思うのでした。
悪党側の大義名分に【富国強兵】という考え方があるんだけど。あの時代に本当に日本を愛してるなら外国の酒や洋服をまとったりしないはずなんだよね。
もっぱらに日本酒じゃなくて洋酒飲んでたり洋服を嗜んでたりする描写は「ああ。こいつら言い訳にしてるだけなんだ。村から解放されたいんだな」って察することができるんだ。
外の世界に夢を観てるということだね。
そんで外の世界に行ったけど「世の中は金だ」ということを悟り、すれた汚い大人になってしまうわけだ。
ちなみにシナリオの基礎技術という本に小物の使い方については深く言及されている。
これも古い本だよね。
昭和のシナリオ作成術の集大成と言える本だね。興味があったら読んで見てね。シナリオってこんな風に作られてるんだと感心させられるよ。
R指定でなくて良いの?
本作品の特徴として『子供に倫理的に見せていいのか?』という描写が多数あります。
しかし本作品の作品レーテルは12歳以上対象作品です。
ゲゲゲの謎は子供に見せて良いのか?という点については
個人的には映画の内容は確かに物議を醸しだす内容ではありますが、もともとゲゲゲの鬼太郎は陰鬱で暗い内容がテーマです。作者の水木しげる様も戦争時に片手を失っていますし、幸福論的に「自分の人生は全然、幸せではなかった」と述べてます。
そのような事柄から当作品は水木しげる100周年記念作品でもありますので、原作者の心を汲み取る。という意味を込めて幅広い層でゲゲゲの無情な世界観を楽しめばいいのではないか?と思います。
それでも【村の因習】はどうかと思うけどね?
正常に狂ってます。ありがとうございました!
まとめ
総括すると【救われない昭和の物語】だよね。製作委員会が何を考えてシナリオを執筆したか聞いてみたいわ。
前評判に期待して感動を求めて映画館に行くと後悔するよって話だよね
そういうことだね。この作品。悪い部分は『昭和だから仕方ないのです』という風にして構成されているから人間の汚い部分を結構見せられるのは覚悟していくといいかもね。
まぁ。僕は好きだけどね。
さすが介護業界で心をすり減らされたアル中ピエロは感受性が違うな。
おしまい。
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フリートーク
余談として本作品のパンフレットは売り切れが続出しちゃって、プレミアついちゃってるんだ。
まさかまさかの異例のヒットだもんね。
そういう僕もこの内容、作者やシナリオライターの人は何を考えて作ったのか知りたくなったもんね。
パンフレットの監督インタビューは、その時だけの生の声が書かれてるから。新鮮よね。
パンフレットは作品を生み出した後の最も新しい記憶や情熱こもってるからね。それを読み解いて解釈するのは面白いよ。
読み物としても結構、濃い内容のものが多く。ネット記事や他人の感想を聞くより作品に寄り添った内容になってる。
製作人が何に対して力を入れたのか?に思いを馳せるのが映画鑑賞後の醍醐味なんだ。
ピエロって読書や物書きに対する考察はガチでするわよね。生粋のオタクって感じだわ
お金がないからね。こういう風に想像を膨らませてエンタメを末永く楽しむのも倹約のコツなのさ。
ところでゲゲゲって女の子的にはどうなの?面白いの?
あー。多分、不快になる。昭和のテーマの一つに『男尊女卑』『女性蔑視』があるからね。
えー!なにそれ!?ムカつくわ!
つまりそういう時代があったってことさ。令和は少しまともな時代になったじゃろ…?
映画館で観ると臨場感があって良いよ。公開中に観に行ってみようね。
パンフレットが再販するといいね。
まったくじゃ!1人2冊までという張り紙までされておったわい。欲しい人に手に入る時代になるといいの。
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